ケロイド・肥厚性瘢痕の治療
ケロイドにはいくつかの種類があり、安易にメスをくわえるとその結果、再発はおろか病巣が拡大することもまれではありません。また専門医が細心の注意と高度な技術を駆使しても、おそらく半数以上のものが再発すると考えられ、本症の治療に際しては、患者さまと医師との相互理解が必要です。しかしながら、難治とはいえケロイドの種類により治療に抗する度合いは異なり、十分に有効な治療法もあります。
ケロイドと肥厚性瘢痕の違いは?
ケロイドと肥厚性瘢痕はともに隆起性の皮膚病変で、両者の厳密な区別は困難な場合が多く、日常診療では両者を区別せずに広い意味でケロイドとして扱われることもあるようです。しかし、両者はその予後において歴然とした差があるため、これらを鑑別することは重要です。
ケロイドは、原因不明もしくは些細なニキビや虫刺されから生じ、周囲正常皮膚まで自律性に隆起が拡大進行していきます。この病変は特異な体質に起因すると考えられ、好発部位(前胸部、下腹部、肩から上腕等)を有し、自然治癒の傾向は殆どありません。一方、肥厚性瘢痕は、外傷や熱傷の後の瘢痕(傷あと)が隆起したものです。増殖はあくまでも瘢痕の中に溜まり、正常皮膚を侵すことはなく、自然治癒の傾向があります。一般に自然治癒期間は2~3年ですが、時に5年以上に及ぶこともあります。
ケロイド・肥厚性瘢痕の保守的治療
保守的治療には圧迫療法、ステロイド局所注射、飲み薬などがあります。
(1)圧迫療法
スポンジ、弾力包帯やコルセットなどで局部を持続的に圧迫する方法で、活火山の状態にあるケロイド・肥厚性瘢痕を休火山にしょうというものです。とくに新鮮な肥厚性瘢痕に有効と考えられます。
(2)薬物療法
ステロイドの外用、局所注射およびトラニラスト(リザベン)の内服などがあります。ステロイドの注射は患部にじかに2~4週間に1回、数回から10回程度行います。
新薬使い治療効果高まる!
最近一番注目されているのは、飲み薬による治療です。抗アレルギー薬であるトラニラスト(リザベン)の内服によりケロイド・肥厚性瘢痕ともに自覚症状の改善が確認されました。主に赤み、かゆみや痛みを和らげたりする効果があり、一昨年からは保険が適用されるようになりました。市販はされておらず、医師の処方が必要ですが、専門分野以外だと医師でもまだこの薬を知らない人が少なくありません。
外科的治療法
ケロイドの場合安易に手術を行うと、再発は必至で、手術前よりも大きなケロイドが発生すると考えられます。このため一般的には、肥厚性瘢痕のみが外科的治療の対象となります。
当院における治療
当院形成外科では、まずステロイドの外用(ステロイド含有テープ)又はステロイドの局所注射とスポンジによる圧迫療法、さらにトラニラスト内服の併用で経過観察を行い、肥厚性瘢痕に対しては、必要に応じて手術を考慮するようにしています。
治療できないと思ってあきらめていたり、恥ずかしくて病院を訪れないことが多いようですが、現在はかなり有効な治療法があります。
ケロイドと肥厚性瘢痕の違いは?
ケロイドと肥厚性瘢痕はともに隆起性の皮膚病変で、両者の厳密な区別は困難な場合が多く、日常診療では両者を区別せずに広い意味でケロイドとして扱われることもあるようです。しかし、両者はその予後において歴然とした差があるため、これらを鑑別することは重要です。
ケロイドは、原因不明もしくは些細なニキビや虫刺されから生じ、周囲正常皮膚まで自律性に隆起が拡大進行していきます。この病変は特異な体質に起因すると考えられ、好発部位(前胸部、下腹部、肩から上腕等)を有し、自然治癒の傾向は殆どありません。一方、肥厚性瘢痕は、外傷や熱傷の後の瘢痕(傷あと)が隆起したものです。増殖はあくまでも瘢痕の中に溜まり、正常皮膚を侵すことはなく、自然治癒の傾向があります。一般に自然治癒期間は2~3年ですが、時に5年以上に及ぶこともあります。
ケロイド・肥厚性瘢痕の保守的治療
保守的治療には圧迫療法、ステロイド局所注射、飲み薬などがあります。
(1)圧迫療法
スポンジ、弾力包帯やコルセットなどで局部を持続的に圧迫する方法で、活火山の状態にあるケロイド・肥厚性瘢痕を休火山にしょうというものです。とくに新鮮な肥厚性瘢痕に有効と考えられます。
(2)薬物療法
ステロイドの外用、局所注射およびトラニラスト(リザベン)の内服などがあります。ステロイドの注射は患部にじかに2~4週間に1回、数回から10回程度行います。
新薬使い治療効果高まる!
最近一番注目されているのは、飲み薬による治療です。抗アレルギー薬であるトラニラスト(リザベン)の内服によりケロイド・肥厚性瘢痕ともに自覚症状の改善が確認されました。主に赤み、かゆみや痛みを和らげたりする効果があり、一昨年からは保険が適用されるようになりました。市販はされておらず、医師の処方が必要ですが、専門分野以外だと医師でもまだこの薬を知らない人が少なくありません。
外科的治療法
ケロイドの場合安易に手術を行うと、再発は必至で、手術前よりも大きなケロイドが発生すると考えられます。このため一般的には、肥厚性瘢痕のみが外科的治療の対象となります。
当院における治療
当院形成外科では、まずステロイドの外用(ステロイド含有テープ)又はステロイドの局所注射とスポンジによる圧迫療法、さらにトラニラスト内服の併用で経過観察を行い、肥厚性瘢痕に対しては、必要に応じて手術を考慮するようにしています。
治療できないと思ってあきらめていたり、恥ずかしくて病院を訪れないことが多いようですが、現在はかなり有効な治療法があります。
- 2016.12.15
- ケロイド・肥厚性瘢痕の治療