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医療と病気の豆知識

高血圧にとって、運動はいいの?わるいの?

高血圧と運動療法
高血圧の患者さんから、自分は運動をしてもいいかどうかといった質問をしばしば受けますが、高血圧患者さんにとって、運動がいいのか悪いのか一概に答えることは難しい問題です。

というのも
運動が高血圧の治療に有効な方もおれば、逆に運動すること自体が危険な方もいるからです。


一般的に適切な運動療法が軽~中等症の高血圧患者さんの血圧降下に有効であることはいくつかの調査によって確かめられています。
その機序として、運動を続けることによりタウリンやプロスタグランディンといった血圧を下げる物質の体内での産生が亢進し、逆にカテコラミンなどの血圧を上昇させる物質の産生が減少することなどが挙げられています。
また、運動を続けることでストレスや肥満を解消させることも高血圧治療には有効となります。


実際にはどのような運動が高血圧治療に有効なのでしょうか。

それは有酸素運動を一定時間、定期的に行うことです。
有酸素運動とは息を切らさずに長い時間続けることのできる全身運動のことであり、具体的にはウォーキングやサイクリング、スイミングなどが挙げられます。
体力のある中年の方ではジョギングでもいいでしょう。
週に3回以上、1回あたり30分以上の運動が勧められていますが、週に1回でも2回でも、5分でも10分でもとにかく始めてみることが大切です。
他の運動仲間を探したり、一人の時にはラジオや音楽を聞きながら運動すると長続きしやすいものです。


一方、未治療の重症高血圧(180/100mmH以上)の患者さんでは、運動中の血圧上昇によりクモ膜下出血や急性心筋梗塞などの心血管事故をきたす可能性があり、運動をすること自体危険となります。
特に息を切らすほどの運動(全力で走る、階段を駆け上がるなど)やいきみながら行う運動(重いバーベルを持ち上げるなど)では、安静にしている時に比べて血圧が100mmHg近くも上昇することがあり、是非避けるようにしましょう。
これら重症の高血圧患者さんやすでに心筋梗塞や不整脈、大動脈瘤などの合併症をもっている患者さんでは、運動を開始する前に主治医の先生に相談して下さい。

サトウ病院では運動中の血圧、脈拍、心電図異常などをチェックできる運動負荷試験を行っています。その結果に基づいて循環器専門医が運動療法を含めた治療について相談させていただきます。

 

文責  副院長  阪本